著作権?フォーマット権?


著作権?フォーマット権?著作権侵害の解決・契約・活用を研究する弁護士ブログ「プロのための著作権研究所」
所長(所員なし,募集中)の弁護士・診断士の柿沼太一です。

「著作権違反なの?企画のパクリ」の記事において,他社企画を「参考」
(というかパクリというかは別として)にして番組制作をした場合に法律上
何か問題があるか,という点について書きました。

結論としては「企画を真似ることは原則として問題が無い」というものでしたね。
ちなみに,この記事では,カツ丼ネタがおかげさまで大好評です。

さて,企画,すなわちアイデアは著作権では保護されておらず,アイデアを
真似ることは原則として問題が無いわけですが,その一方で,そのようなアイ
デア自体が取引の対象とされるということがあります。

「法律で保護されている」ということと「取引の対象になる(お金になる)」
というのは違います。

もちろん,両方を満たしているものがほとんどです。

たとえば,映画という著作物は,著作権という法律で保護されていると同時に,
取引の対象となっています。また,不動産という有体物は,民法その他の法律
で保護されていると同時に,取引の対象となっていますよね。

なお,ここで「法律で保護されている」というのは,ざっくり言うと
「他の人がその権利を侵害した場合に,裁判所の助力を得て差し止めや損害賠償請求
をすることが出来る。」という意味です。対象物を「独占できる」と言い換えて
もいいかもしれません。

その一方で「原則として法律で保護されていないが,取引の対象とはなっている」
というものも存在します。

今日紹介する「フォーマット権」もその一種です。

この「フォーマット権」とは,「主にクイズやゲーム,バラエティーショー
等の放送番組について,番組の企画・コンセプトだけでなく,番組固有の約束事,
セット等のデザイン,音楽・効果音,進行等の番組フォーマット」です(早稲田
祐美子「そこが知りたい著作権Q&A100~CRIC著作権相談室から~」2011
年CRIC(著作権情報センター)。

フォーマット権の販売として有名な例としてはフジテレビの「料理の鉄人」の
フォーマット権がアメリカ向けに販売され,「IRON CHEF AMERICA」として制作
,放映されたという例があります。

ちなみに,フジテレビに関しては,「逃走中」のフォーマットもディズニー
グループのブエナビスタと全世界権の契約が成立し,「バイキング」
「ネプリーグ」「トリビアの泉」などの番組フォーマットについても
欧米各社とオプション契約が成立しているそうです(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents/kikaku2/2siryou5_5.pdf

「企画を真似しても問題は無い」つまり「企画(アイデア)は著作権では
保護されていない」と書いたのですが,その一方で,一定の場合には「企画」
が取引の対象とされているわけです。

真似しても違法ではないのであれば,わざわざ「フォーマット権」なぞ
買わなくても真似をすればいいですよね。

「フォーマット権」が取引の対象となっているのは,企画(アイデア)
そのものというよりも,その企画を実現するノウハウ,つまり「ここを
こうすれば視聴率が上がるという秘訣」に価値があると考えられている
のでしょう。

たとえば,料理の鉄人で言えば
・ 鉄人の選出基準,方法
・ 対決にふさわしい食材の選出,食材提供者とのコネクション構築方法
・ 挑戦者の募集,選出方法
・ 司会者のキャラクター設定方法
・ 解説者,ゲスト人選方法
・ 撮影現場の設備,備品,料理補助人員の確保方法
・ 音楽,効果音
など「ここをこうすれば視聴率が上がる」というノウハウを挙げれば
キリがありません。

そのようなノウハウは企画(アイデア)と同様,原則として法的保護の
対象とはならない(ただし,デッドコピーした場合には違法となる可能性
もあります)のですが,価値があるとみなされて,「フォーマット権」
として取引の対象となっているのだと考えられます。

今日はここまで。

カテゴリー: フォーマット権, 著作権一般 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です