著作権違反なの?企画のパクリ


著作権違反なの?企画のパクリ著作権侵害の解決・契約・活用を研究する弁護士ブログ「プロのための著作権研究所」
所長(所員なし,募集中)の弁護士・診断士の柿沼太一です。

1 相談内容
当社はテレビ番組の制作会社ですが,他社制作の番組の視聴率が
かなり好評なので,当社でもそれを参考に番組制作をしたいと思います。

もちろん企画を参考にするだけで,出演者や撮影場所等の要素は全て
オリジナルのものを考えていますが,著作権法などの法律上なにか問題が
ありますでしょうか。

2 企画のパクリは著作権法違反か
要するに他社企画を「参考」(というかパクリというかは別として)
にして番組制作をした場合に法律上何か問題があるか,というご質問ですが,
結論としては「企画を真似ることは原則として問題が無い」というものになります。

3 「アイデア」と「表現」の違い
まず,この問題については,
「著作権法においては,『表現』は保護されるが『アイデア』は保護されない」
という大原則を知っておく必要があります。

これは,著作権に関する大事な原則なので是非覚えてください。

著作権法2条1項1号では,著作物の定義として「思想又は感情を創作的に
表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」
とされています。

つまり「思想又は感情」(アイデア)ではなく,それが「創作的に表現」
されたもののみが著作権法の保護の対象となる,ということです。

「料理のレシピ」で考えてみましょう。

ちなみに,私の最大の趣味は料理をすることです(ほぼ毎夕食作っていますし,
人をお招きしてホームパーティーをするのも好きです。あ,あと食後に料理本
を読むのも好き。)。

料理本を読んでいて思うのは,料理界においては,日々料理人の創意工夫
によって新しいメニューやレシピが生み出されており,その中には非常に独創的
で美味しく,食べる人を幸せにするものもあるということです。

「カツ丼」ってありますよね。

これは非常に独創的なメニュー・レシピだと思うのですが,このコンセプト
を言葉で表すとすれば「トンカツとネギを甘辛いタレで煮立て,卵でとじて
ご飯の上に載せたもの。トンカツから美味しい油がしみ出た甘辛いたれを,
とろとろの卵が包み込み,それをご飯がしっかり受け止めて,お腹がすいて
いるときに思い出すと,いても立ってもいられなくなる。」ということになります。

「カツ丼」を最初に思いついた人は間違いなく偉人ですが,「カツ丼」の
コンセプトやそのレシピは,あくまで「アイデア」であり,「表現」
ではありません。

この「アイデア」をもとに無限のバリエーションが生まれてはきますが
(たとえばソースカツ丼),それは「カツ丼」の複製権や翻案権を侵害した
ことにはなりません。

これに対して,料理のレシピ本における具体的表現は,「アイデア」をもとに
した「表現」ですから,その表現を「そのまま複製」した場合には著作権侵害
になります。

もっとも,あくまで「表現をそのまま複製」した場合のみ問題になるのであって,
たとえば,手順が若干違うとか,使っている材料が少し違う,あるいは手順や材料
は全く一緒でも,表現の仕方が違う場合には著作権侵害とは言えません。

これも「レシピは『アイデア』であって『表現』ではない」からです。

ちなみに以前私が見た例では,イタリアンのシェフの本に載っていた
「イタリア鍋」というレシピについて,「鍋万歳」(仮名)という
鍋料理ばかりを集めたレシピ本に,一言一句同じレシピが載っていた
ことがあります。写真まで同じでした。

これは,許諾をとっていなければ間違いなく著作権侵害になりますが,
このように一言一句同じでない場合には,著作権侵害とは言えないでしょう。

4 番組企画について
すみません,つい脱線してしまいました。

ただ,「アイデア」と「表現」の違いは,何となくではあれ,掴んで頂
けたのではないでしょうか。

番組の企画について言えば,企画そのものは「アイデア」です。

たとえば,「どっきりカメラ」という企画は「ターゲットに対して意図的に
仕組まれたハプニングを起こし,それに慌てふためくターゲットの反応を楽しんだ
上,最後にどっきりであることをばらして,その反応も見られて,二度おいしい。」
というものですが,この企画は「アイデア」ですから,その企画を真似した
としても著作権侵害にはなりません。

したがって,他社の企画を真似したとしても,通常は著作権侵害には
ならないでしょう。

ただし,実際にはどこまでが「アイデア」で,どこからが「表現」なのか,
というその境界線を明確に引くことは非常に困難です。

抽象的な基準は色々提唱されているのですが,具体的なあてはめとなると
あまり役に立ちません。

そのあたりについても別の機会に書きたいと思います。

今日はここまで。

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