著作権法改正 電子書籍の出版権を知る


著作権法改正 電子書籍の出版権を知る著作権侵害の解決・契約・活用を研究する弁護士ブログ
「プロのための著作権研究所」所長(所員なし,募集中)
の弁護士・診断士の柿沼太一です。

まずは本題よりも好評を頂いている料理写真です。

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お花見弁当です。
・ 菜の花のキッシュ
・ 唐揚げ2種(カレー味と甘酢漬け)
・ 豚の角煮
・ 肉団子クミン風味
・ エビのマスタードマヨネーズ和え
・ ブロッコリーのマリネ
・ 砂ズリのウースターソース炒め
・ レンコンのクリームチーズ和え
・ 新じゃがの韓国風煮物
・ 白菜の中華風甘酢漬け
・ ウナギのちらし寿司

・・・・・・いつもながらめったやたらに作ってしまいました。

さて,今日は,電子書籍に対応する「出版権」を設ける
著作権法改正案が今国会で成立する見通しとなったことから,
電子出版権(法案で定義されているわけでは無いですが,
この記事では便宜的にこの言葉を使います)についてご
紹介しようと思います。

もともとは,電子書籍についても横行する海賊版について
出版者にも自ら対処する権限を付与すべきだ,というところから
議論はスタートしています。

ただ,そこからスタートはしているのですが,当然のことながら,
特定のプレーヤーに権利を付与するということになれば,それ
により影響を受ける他のプレーヤーからも激しい異論・反論が
なされます。

電子出版権をめぐっては,出版者,著者,流通各社等々様々な
プレーヤー同士の激しいバトルがありました。

■ 電子出版権の創設までの経緯
「電子書籍に対応した出版権」に関する法改正の選択肢
としては,いくつかあったのですが,大きく分けて

A) 著作隣接権の創設
 出版社に電子書籍に関する著作隣接権を付与する

B) 電子書籍に対応した出版権の整備
 現行の出版権を拡充して電子出版にも及ぶようにする

の2つの方策(厳密には4つの方策があったのですが,
残り2つは省略)がありました。

AとBの最大の違いは「電子出版権が自動的に発生するのか
,契約により発生するのか」という点です。

Aの著作隣接権の場合は,出版者が出版物等原版(電子書
籍であれば電子書籍用のデータファイル)を完成させること
によって,自動的に権利が出版者に付与されることになります。

これに対して,Bの現行の出版権を拡充するという方向性
は,著作者と出版者の間での出版権設定契約によって発生
する出版権を電子書籍に拡大する,というものです。

自動的に発生する方が,当然出版者にとっては有利です
ので,出版者側はAの方法による電子出版権を主張していま
したが,結論としては,Bの「現行の出版権を拡充して電子
出版にも及ぶようにする」による法改正がなされることに
なったのです。

■ 電子書籍に対応した出版権の内容
全体像は文部科学省のWEBページ
を見ていただきたいのですが,これを私なりにわかりやすく
整理したのが下記の表です(クリックすると拡大します)。

まずは,出版権の主体と客体から。誰が,どのようなもの
について出版権を設定できるのか,という点です。

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次に,出版権の内容と,再許諾の可否です。再許諾の点
については,現行の出版権では一律不可とされています
が,改正案では,著作者の同意を得れば再許諾可能とさ
れています。ここは重要な改正点です。

2014y04m30d_153210049

最後に,出版の義務と出版権の消滅請求です。出版権に
ついては,契約締結後一定期間内に出版する義務が出
版者には課されており,その義務に違反した場合は著作
者は,出版権の消滅請求をすることが出来ます。「解説」
欄には,注意すべき点について記載してありますので,
特に著者の方は要チェックです。

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■ 契約書で「出版権を設定する」とだけ定めた場合どうなるのか

また,重要な問題として,改正法施行後に,単に「出版権
を設定する」とだけ契約をした場合に,そこに電子書籍に
関する出版権が含まれるのか,という問題があります。

出版者側は契約上の「出版権」に当然電子書籍を含むと
考えていたけども,著者側はそう考えていなかった場合が
典型的なパターンです。

これは,改正著作権法がどのように規定しているか,
というよりも、当該契約当事者双方がどのように契約を
理解していたか,という問題です。

契約締結までに双方がどのようなやり取りをしていた
のか,電子出版を前提とする印税設定がされているのか,
などによって結論が分かれます。

その点に関する紛争を避けるためには,特に著作者側
としては,「出版権」に電子書籍も含まれるのかどうか
を契約上明確にするように注意する必要があるでしょう。

そうしなければ,電子出版は別の出版者に委ねよう
思っていたとしても,出版契約を締結した出版者から
「話が違う」として抵抗にあうかもしれません。

■ 改正法はいつから施行されるのか

改正法の施行期日は,平成27年1月1日とされています。
そして,改正法は,施行日以降に出版権設定契約が締結された
もののみに適用されることになっています。

この点についても契約実務上は注意すべきでしょう。

今日はここまで。

<今日のまとめ>
・ 電子書籍の出版権に関する著作権法改正がなされる
見込み
・ 内容的には,自動的に発生する著作隣接権ではなく,
現行の出版権を拡充して電子出版にも及ぶようにすること
になった。
・ 著者側,出版者側は,これまで以上に契約内容を
明確化することが大事。

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