著作権違反なの?番組制作でのネット情報の利用

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著作権違反なの?番組制作でのネット情報の利用「プロのための著作権研究所」所長(所員なし,募集中)
の弁護士・診断士の柿沼太一です。

今日は,TV番組制作においてネット上の情報を利用
する場合の注意点です。

<問い>
ニュース番組のディレクターをしています。

1 ネット上に掲載されている時事ネタをもとに取材,
番組構成をすること
2 ネット上に掲載されている記事内容をそのまま番組
で読み上げたり,テロップで流すこと
3 ネット上の画面を撮影して番組で流すこと

は著作権法上なにか問題があるのでしょうか。

<答え>
番組制作に際してネット上の情報を利用すること
は多々あることだと思います。

その場合,特に権利者の許諾を得ることなく利用
できることもありますし,許諾を得なければ利用
できない場合もあります。

1 ネット上の記事は自由に利用できる?
・ ネット上の書き込み記事は短いものが多いので,
そもそも著作物とは言えない」
・ ネット上に公開されている記事はコピーされる
ことを当然の前提としているので,黙示の利用許諾があ
り,自由に利用できる
・ 匿名の執筆者は著作権を放棄しているのだから,
そのような執筆者によるネット上の記事は自由に利用
できる

このご時世に,このような認識の方はあまりいない
と思いますが,念のためにコメントしておくと,
これらはいずれも誤りです(書き込みの内容によっ
ては著作物性が否定されるものもありますが)。

著作物性のある記事であれば,誰か著作権者
が存在するはずであり,著作権の存続期間中に
それらの記事を無断複製等すれば,一発で著作
権侵害になります。

少し古い事件になりますが,「ホテル・ジャン
キーズ事件」(東京地裁平成14年4月15日
判決)というのがあります。

これは,ホテルに関する情報を書き込める無料
掲示板サイト「ホテル・ジャンキーズ」に書き込まれた
口コミ情報を,サイト運営者と出版社が,サイト
ユーザーに無断で書籍として出版した事件です。

ユーザー達は,そのような出版行為は,口コミに関して
自分たちが有する著作権を侵害するものであるとして
書籍の出版の差止め及び損害賠償金の支払を求め,
裁判所もそれを一部認めました。

この事件では,被告側(サイト運営者と出版社)は,
・ 書き込まれた文章は、事実の報告又は感想にすぎず、
その表現もありふれた平凡なものでだから著作物とは言えない。

・ 匿名で書き込みをした者は、自らが書き込んだ文章に対して
責任を負うことはないのであるから、原告各記述についての著作権を
認める必要はない。

・ 本件掲示板へ書き込みをする者は、同掲示板へ書き込みをした
内容について著作権を主張しないという暗黙の了解があった。

と主張しましたが,いずれも裁判所によって
退けられました(ただし,一部の書き込みについ
ては著作物性が否定されました)。

さすがに「ネット上の記事は自由に利用できる」と誤解をしている
方はいないと思いますが,念のため。

2 ネット上に掲載されている時事ネタをもとに
取材,番組構成をすることは著作権法上問題がある?

これは,「著作権法違反なの?企画のパクリ」
で書いたことがそのままあてはまります。

詳しいことはその記事を見ていただくとして,
結論としては「アイデア(企画)は著作権法上
保護されるものではないから,企画を真似るこ
とは原則として問題がない」ということです。

これを本件についてあてはめると,ネット上
の時事ネタをそのまま利用するのでは無く,あ
くまでアイデアとして利用するのであれば,
著作権法上問題は無い,ということになります。

2 ネット上に掲載されている記事内容をその
まま番組で読み上げたり,テロップで流すこと
は著作権法上問題がある?

これは質問の3つ目の「3 ネット上の画面を
撮影して番組で流すことは著作権法上問題
がある?」と同じ答えになります。

まず,ネット上に掲載されている記事の内容
が著作物とは言えない場合があります。

たとえば,事実をそのまま記載しているとか,
表現が短すぎる場合,あるいは極めて一般的な
内容の場合は,創作性がないですから著作物には
該当しません。

その場合は,自由に利用が出来るということ
になります。

これに対して,表現にある程度の長さがある
場合には,内容にもよりますが,著作物性が
あることがほとんどです。

したがってそれらの著作物を,著作権者に無断で番組
で読み上げたりテロップで流したり,画面を撮影して
番組で流すことは,原則として著作権侵害ということ
になります。

もっとも,「引用」「報道目的利用」に該当する場合
は,著作権者に許諾を得なくとも利用できます。

「引用」については「引用は著作権を侵害するのか?」で,
報道目的利用については「著作権と報道」で簡単に触れました。

報道目的利用の場合は,
① 当該事件を構成(する著作物)
または
② 当該事件の過程において見られ,若しくは聞かれる著作物
が必要だということでしたね。

たとえば,
・ 闇サイトを利用した爆破予告事件における
当該爆破予告
・ 出会い系サイトの利用者が被害に遭った
暴行事件における被害者や加害者の投稿内容
・ ネットオークションを利用した取り込み
詐欺事件における出品画面
などの画面を撮影,放送することは
「① 当該事件を構成(する著作物)」として
報道目的利用ということになると思われます。

また,
映画や音楽の違法ダウンロードサイトの紹介番組において,
当該サイトを紹介し,その紹介の家庭において
映画や音楽を部分的に再生すること
などは「② 当該事件の過程において見られ,
若しくは聞かれる著作物」になるでしょう。

今日はここまで。

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