youtubeなどの動画投稿サイトでの著作権侵害(3) まとめ

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youtubeなどの動画投稿サイトでの著作権侵害(3) まとめ著作権侵害の解決・契約・活用を研究する弁護士ブログ
「プロのための著作権研究所」所長(所員なし,募集中)
の弁護士・診断士の柿沼太一です。

youtubeなどの動画投稿サイトでの著作権侵害(1) まずは基本的な考え方から
同(2) どのような場合に侵害となるのか
において以下の設問について検討しました。


うちの会社が制作し,テレビで放映した番組が動画投稿サイト
に無断でアップロードされて誰でもダウンロードできるように
されています。即刻掲載を止めさせて,
可能であれば損害賠償請求もしたいのですが,
どのようにしたらよいでしょうか。

答え
少し復習をしましょう。

まず著作権侵害事件においては
・ 誰の
・ 何の権利が
・ 誰によって
侵害されているのか,をまず特定する必要があり,この件では
「放送局の」「複製権,公衆送信権(のうちの送信可能化権)」
が侵害されていることになります。

そして,この場合「誰によって著作権
が侵害されているのか。」が最も問題になります。

動画サイトは複製などの直接的な行為はしていませんので,
当該サイトが「規範的に見て著作権侵害の侵害主体となると
いえるか否か。」が問題になる,ということになります。

では,どういう基準でアウトとセーフを判断するのか。

ここで(ごく一部で)有名な「カラオケ法理」の話が出てきます。

まず,「カラオケ法理」について簡単に紹介します。

これは,「クラブキャッツアイ事件」(最高裁昭和63年
3月15日判決)において裁判所が示した法理です。

この事件は,権利者に無許諾でカラオケ装置を設置して
いるカラオケスナックにおいて,お客さんの歌唱行為につい
て,カラオケスナック店自身を著作権侵害主体として認めた事例です。

まず,カラオケスナック内でお客さんが気持ちよく
歌っている行為は,著作権法22条の「上演」に該当
しない,あるいは38条の「非営利」に該当するとして
責任を問えない場合がほとんどです。

そこで権利者は「カラオケスナックは,無許諾でカラオケ
を提供してお客さんを呼び寄せ,それによって利益を得て
いるのだから,スナックそのものを侵害主体として考えら
れないか」と考えた訳です。

この点について,最高裁は,
① 管理・支配の要件
② 営業上の利益の要件
が満たされる場合には,規範的に見てスナックが侵害
主体となるとしました。

この2つの要件は覚えておくと役に立つと思います。

まず,①として「ホステス等従業員においてカラオケ
装置を操作し、客に曲目の索引リストとマイクを渡して
歌唱を勧め、客の選択した曲目のカラオケテープの再生
による演奏を伴奏として他の客の面前で歌唱させ、また、
しばしばホステス等にも客とともにあるいは単独で歌唱
させている行為」を指摘しています。

ま,確かにカラオケスナックで行われている行為を難しく
表現すれば,このような行為は行われていますよね。

そして,②として「(そのような行為により)店の雰囲気
作りをし、客の来集を図つて利益をあげることを意図して
いた」と指摘しています。

この「カラオケ法理」は不明確であるとの批判はありつつも,
現在の裁判実務では,この「カラオケ法理」(あるいは
それを発展させた法理)を前提として侵害者の範囲が判断
されています。

つまり「カラオケ法理」は,はカラオケのみならず,その
後,動画サイトや,ITビジネスにおける新サービスの違法性
(たとえば録画ネット事件,選撮見録事件,まねきTV事件,
ロクラクⅡ事件など)を判断する際にも用いられている,
ということです。

これは,ITビジネスにおける各サービスにおいて,ユーザー
のみならず,そのシステムを提供した事業者自身が侵害主体
と判断される可能性があることを意味しますので,この
「カラオケ法理」を理解しておくことは非常に重要です。

動画サイトについても,当然このカラオケ法理,すなわち
① 管理・支配の要件
② 営業上の利益の要件
を満たしているか否かによって,侵害主体性が判断される
ことになります。

動画サイトの違法性が問題になった最近の判例が,TV
ブレイク事件(東京地裁平成21年11月13日判決,
知財高裁平成22年9月8日判決)です。

この裁判例は,
① 問題とされる行為の内容・性質
② 侵害の過程における支配管理の程度
③ 当該行為により生じた利益の帰属等
の諸点を総合考慮すべきとしています。

このうち②と③はカラオケ法理そのものですね。

①については,具体的には「著作権又は著作隣接権を侵害
する事態を生じさせる蓋然性の極めて高いサービスかどう
か」ということです。

TVブレイク事件においては
・ 投稿者は匿名で投稿できること
・ 動画を視聴しようとする者はキーワード検索で簡単に
検索ができること
・ カテゴリーの中には,「ムービー」,「アニメ」,
「音楽」,「ゲーム」など,自主制作動画以外のものや,
「タレント」,「韓流スター」のように放送物を複製する
ことを当然の前提としたものがあること
・ 著作権侵害を行った投稿者に退会処分を行っても再入
会することが容易であること
などから
「著作権又は著作隣接権を侵害する事態を生じさせる蓋然
性の極めて高いサービス」であると認定されました。

また,②の管理・支配要件も,③の営業上の利益の要件も
満たしているとして,結論としては動画投稿サイトを侵害
主体として認定したのです。

このように,カラオケ法理は,著作権侵害における侵害主
体を判断するに際して極めて重要な「古くて新しい法理」です。

この法理が,最近のIT業界における新サービスにどのよう
に影響するのか,についてはまた別の機会に書きたいと思います。

今日はここまで。

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